マウントレーニアを楽しんだ翌日。
とうとう僕らが日本に帰る日が来てしまった。
朝。
一人だけどうしても起きられない息子。
何とか着替えさせたけど、朝ご飯も食べずにソファでまた眠ってしまった。
体力がついたとはいえやっぱり7歳、そりゃ疲れたよね。
出発前に泊まったロッジの前で一枚。
マウントレーニア付近は電波が入らず、ほとんどスマホが使えないんだけど、ここのロッジはFreeWi-Fiだったので、とって助かりました。
中も広くて、とても快適。
ロッジを出た僕らは、そのまま空港へ直行。
車に乗ったと同時にまた寝てしまった息子。
まあ、極度に乗り物酔いしやすい息子なので、車の中ではずっと寝てくれていた方が僕としては正直助かる。
途中、スターバックスに寄ったりもしたけど、一切起きずにそのまま空港まで眠り続けてくれた。
そして、シアトル・タコマ国際空港に到着。
レンタカーを返却し、搭乗の手続をして、あとは出発を待つだけとなった。
ちょうどお昼時だったので、何が食べたいか息子に聞くと「ハンバーガー」との回答。
そうか、日本に帰る前にもう一度アメリカのハンバーガーを食べておきたいのね。
周りを見渡すと、ウェンディーズが。
日本でも息子とウェンディーズ食べたことないし、ここにしよう。
結構大きなサイズにもかかわらず、2個ペロッとたいらげてしまった。
運動させるようになってから、ほんっとに良く食べるようになったなぁ。
保育園の頃はあまりにも食べてくれなくて、妻と2人でほとほと困り果てたものだったけど、今じゃこっちが所持金の心配をするくらいの大食漢に。
「食事」「運動」「睡眠」この3つを小さい頃にしっかり摂らせるのも、親の務めです。
食事を済ませた後はお土産物を買い、飛行機に乗り込む。
この辺、慌ただしく動いていたのであっという間に過ぎてしまい、記憶が曖昧。
息子は飛行機の中でずっと映画観たりゲームしたりしていたようだけど、僕は乗ると同時に眠ってしまったので、気がつけば飛行機は日本の上空。
日本からシアトルは時差でぐぐっと巻き戻った時間も、逆は日にちが先に進むので、本当にあっという間に1日が過ぎてしまって、何だか不思議。
そして、着陸。
あーあ。
とうとう日本に帰ってきちゃった。
今まで色んな海外へ行ったけど、こんなに帰りたくないと思ったのは初めて。
日本が恋しいなんて気持ちには全くならず、帰国と同時にシアトルが恋しい。
そんなことを考えながら到着ロビーまで来ると、
「パパー!!」
という絶叫が聞こえてきた。
この声は…
長女だ!!
お迎えに来てくれたのか!!
見るとそこには、妻、長女、次女、お祖母ちゃんと、家族全員がそろっていた!!
羽田ならまだしも、成田まで迎えに来てくれているとは思わなかった!!
全く人見知りをしない長女は、初対面の他の子たちにも片っ端から抱き着いていく。
まるで一緒に旅してきたかのように…。
…そして、僕ら親子は、他の皆とここでお別れとなった。
今回の旅はファザーリング・ジャパン関西の企画。
関東からの参加者は僕らだけなので、他の皆はこれから国内線で伊丹まで帰るのだ。
この旅はどうだったか、最後にビデオカメラに向かってしゃべる。
息子が何をしゃべっていたか、具体的なところまでは思い出せないけど、こう言ってくれたのは覚えてる。
楽しかった、パパと一緒に行ってよかった、と。
そして、僕の番。
色々あったな、何をしゃべろうか、伝えたいことはたくさんあるな、なんて考えているうちに…
感極まって、涙があふれてきました。
自分でも驚きです。
普段、そこまで涙もろいわけじゃないし、子ども達の前で泣くことなんてない。
子どもに涙を見せたのは、去年、16年間連れ添った愛犬が亡くなった時の一度だけ。
「…パパー、大丈夫?何で泣いてるの?」
心配した娘が顔を覗き込む。
心配しなくても大丈夫だよ、パパは悲しくて泣いているんじゃないんだ。
色々思い出してたら泣けてきただけで、むしろ温かい気持ちなんだよ。
僕と息子の8日間のシアトルの旅はこうして終わりました。
早いもので、帰国してからもう2か月になります(自分の中で消化するのに時間がかかり、Blogにするのにとても時間かかっちゃいました)。
国内旅行すら2人で一緒に行ったことのない僕ら父子が、初めてのアメリカ、初めてのシアトル、初めて出会う人たちとの旅行で、果たしてうまくやっていけるのか。
出発前は90%が不安でいっぱい。
楽しみよりも心配な気持ちがほとんどでした。
妻も同じ気持ちか、それ以上だったでしょう。
普段、息子と僕はしょっちゅうぶつかり合ってます。
自分と全く異なる性格の息子に対して、僕なりに考えながら接する毎日。
でも、自分が子どもの頃に父親と遊んでもらった記憶や想い出がほとんどないので、子どもにどう接すればいいのかよく分からない。
毎日試行錯誤しながら、「どうやったらこの子にとって良い父親になれるだろう。この子を立派に成長させることができるだろう」という強い思い、いわば使命感から、我が子への接し方はだんだんと厳しくなっていきました。
育休に入って自宅にいる時間が増えてからはそれが顕著で、妻から見ても、このままでいいのかという思いだったのでしょう。
そんな妻からある日、「応募して行ってみたら?」と勧められたこの父子ツアー。
かなりの荒療治で、妻からしたら一か八かの賭けだったと思います。
「2人だけで、ママの力を借りず、目の届かないところで、親子の絆を深めてきなさいby妻」という無言のメッセージ。
しかし、行ってこいと言いつつも不安な気持ちから、僕らがシアトル滞在時に、僕がツアーを放棄して一人で帰国してしまう悪夢にうなされたそうです。
結果としては、行く前と後で、確実に僕ら父子の関係は劇的に変わりました。
僕なりに考えると、これは「父子2人」「海外」という条件の旅行だったからだと思います。
父子2人だから、何があっても父親の自分が子と向き合って行動するしかない。
海外だから、何かあっても「もうダメだ、帰る!」と簡単に途中離脱できない。
ひたすら子どもと向かい合うしかない環境で、父親としての気持ちに変化が起きました。
シアトルに行く前に常々思っていた「どうすれば良い父親になれるか、どうすれば子どもを立派に成長させられるか」という使命感のような気持ちは、今はほとんどなくなりつつあります。
そして、良い父親であるとか、子どもを立派に成長させるとか、そういったある種の強迫観念に囚われなくなった結果、かえって息子と良い関係が築けています。
単純に子供と一緒に楽しめばいい。
子どもの中に何が残るかは、子どもが自分で感じること。
今回シアトルに行ったことも、具体的に何が息子に残っているかは分からないけど、7歳なら記憶には残っていると思うから、息子のこれからを楽しみにしよう。
このBlogだっていつか息子が見るかもしれない、その時に息子とシアトルの話をできるのが今から楽しみです。
最後に、このツアーを企画・実行してくださったFJKの皆さま、一緒にシアトルへ行ったパパと子ども達、関係する全ての方々へ感謝の気持ちを込めて。
本当にありがとうございました。