一夜明けて、シアトルの2日目の朝。
この日は夕方まで各家庭で自由行動となっていた。
夕方からは、シアトルのイベント、トーチライト・パレードに参加するので、それまでは完全なフリータイム、自分達の行きたい場所に向かうことになる。
…と、言われてましても。
初めて訪れたシアトルで、いきなり父子で「さあ、自由に好きなところへ」って言われても、かなりハードル高い。
自由行動があることは事前に分かっていたけど、いきなり2日目に来るとは思ってなかった。
シアトル行きが決まってから全く何も下調べをしてこなかった訳でもないので、そりゃいくつか候補地はある。
しかし、何がどこにあるかは地球の歩き方任せだし、それぞれの目的地までの距離感も全く分からない。
何よりここはアメリカだ。
シアトルなので治安はあまり問題ないと思うけど、自分1人で行きたい場所へ向かうのと小学校低学年の息子を連れて歩くのでは、神経の遣い方が違う。
「疲れた」「お腹減った」「おしっこ」「〇〇が痛い」「あれ欲しい」「これ買って」こういうセリフが次々と出てくることが容易に想像できる。
大丈夫か??
でも、それを経験することが、このツアーの目的。
父と子で、知らない土地での二人旅を楽しむために来ているんだ。
道に迷っても慌てず、オロオロしたりイライラしたりすることもなく、父子2人でゆったり楽しんでみよう。
という訳で、宿泊場所を出発。
最初の目的地はブルース・リーのお墓のあるレイクビュー・セメタリーにした。
宿泊地からはバスを乗り継いで30分程度だよ、とGoogleMap先生が言っている。
ちょっと脱線するけど、この旅ではGoogleMapが本当に役に立った。
現在地と目的地を入力するだけで、道順やバス乗り場、何番のバスに乗ってどこで乗り換えるか、ここで階段を昇って、目的地にはこの時間に着くとか、そういうのが全部出る。
凄い。
ここ数年、海外と言ったらタイの田舎くらいにしか行ってなかったし、日本国内でグーグルマップ見ながらナビしてもらうようなこともなかったのでよく知らなかったんだけど、テクノロジーってここまで進歩してるのか。
昔、学生時代の頃、地球の歩き方を片手にアフリカを旅して「何だよ、この地図全然違うじゃねーか!いつまでたっても見つからないぞ!」とか言ってたんだけど、今はどこの海外へ行こうとスマホがあれば迷わないんだな。
凄い時代になったもんだ。
バスを乗り継いで、目指すはレイクビュー・セメタリー。
目的地付近で降りたら、あとは2人で墓地の入り口を目指して歩きます。
分かってはいたけどさすがアメリカ、墓地っつってもマジで相当広い。
後で調べたら、墓地の広さ自体は40エーカー、東京ドーム約3.5個分の広さがあった。
土地勘のない僕は、まず墓地の入り口を見つけることから苦労したけど、パパを頼りに付いてくる息子の手前、「いやぁ、パパ道に迷っちゃった」なんて絶対に言えない。
そうして歩くこと20分くらい。
我々はとうとう入り口を発見した!
…さて、ここからが問題だ。
入り口から入ったはいいが、今度は肝心のお墓がどこにあるのか、まるで分からない。
ネットで調べたりして「多分、この辺だろう」というのは分かるんだけど、グーグルマップでもさすがにお墓の位置はピンポイントで表示されない。
果たして見つけられるのだろうか?
…見つけられました。
まるで導かれるように、すっと墓石までたどり着くことができました。
ブルース・リーが導いてくださったのだろうか。
ところで、「シアトルに来て、何故最初にすることがお墓参りなの?いくらブルース・リーが好きでも子供と一緒ならもっと他に行くところあるでしょ?」と思われた方もおられるかもしれない。
普通に考えたら、私もそう思う。
これには理由がありまして、実は、私と妻の出逢いのきっかけがブルース・リーなのです。
今を遡ること15年前、とある都内の格闘技ジムで私と妻は出逢いました。
その時、2人が修行していたのが、ブルース・リーの創った格闘技「截拳道(ジークンドー)」。
つまり、ブルース・リーという存在がなければ、息子はこの世に生を受けていなかったかもしれない。
だから、今回せっかくシアトルに行くのなら、ブルース・リーが眠っている墓前に息子を連れていきたかった。
「武道家であり、映画スターでもあるあなたが居てくれたおかげで、私は妻と出逢い、この子にも出逢うことができました。ありがとうございました」とお礼を言いたかったのです。
ちょっとクサいけど、これは本当の話。
という訳で、息子と2人で墓前に手を合わせました。
息子にはここに来た理由、何故この人のお墓参りをするのかという理由を説明したけど、まだブルース・リーの映画を観ていないこともあって、正直、あまりピンと来ていなかったように思う。
でも、今はそれでいい。
いつか、何か感じてくれる日が来るかもしれない。
しばらくお墓の前でパパとママの昔話なんかをしてから、その場を離れました。
朝一番で行ったので、お墓の前には僕ら親子2人だけという状況を作れたんだけど、ここは有名なブルース・リーが眠っている場所だけあって、入れ代わり立ち代わり、たくさんの人が訪れます。
みんな写真を撮りたいだろうし、あんまり貸切の時間を作れる雰囲気でもないので、もしこれから行こうという人がいたら、朝早めに行くことをおススメします。
お墓参りが終わったあとは、ちょっと早いけどお昼ご飯。
ブルース・リーのお墓参りを終えたということで、チャイナタウンまで足を伸ばし、彼がシアトル在住時に良く通っていたというチャイニーズレストランタイタン(Tai Tung)へ。
このお店は1935年創業、シアトルで一番老舗のチャイニーズ・レストラン。
ブルース・リーだけでなく、あのビル・ゲイツや有名政治家も足を運ぶ有名店だそうです。
ブルース・リーが好んで食べていたという「牛肉のオイスターソース炒め」を、あとは息子のチョイスで蟹炒飯とオイスターヌードルを注文。
量が分からなかったのでとりあえず3品頼んだら、1品の量がてんこ盛りで2人だとお腹いっぱいに!
凄い量の炭水化物になっちゃったけど、どれもとっても美味しかったです。
2日目、まだまだ続きます!