シアトル父子ツアー

【FJK】シアトル父子ツアー07(3日目昼、日本の家族に電話)

前日のシアトル・神戸市姉妹都市協会のパレード参加での「やっと終わった」発言。

そして、本場アメリカでのメジャーリーグ観戦をしても、全く面白くなさそうな顔をしている息子に業を煮やした僕は、ついに日本にいる妻に電話をしてしまった。

妻「…もしもし?」
僕「…もう無理だよ

~省略、というか切羽詰まってて何を話したかほとんど覚えていない~

妻「今は楽しんでいなくても、大きくなった時に何かしら覚えているかもしれないよ?」
僕「とはいえ、これだけの経験をさせてもらってるのに心が動かないようでは、今後この子に何を体験させようとあまり期待はできない気がする
妻「そんなこと分からないし、日本にいる私にはどうすることもできないわよ」
僕「とにかく、こういう現状だ。息子と2人で旅をするというのは、今回を最初で最後にしたい

切電。

…ああ、とうとう言ってしまった。

言ってはならない、全否定の言葉。

気持ち良く僕らを送り出してくれた妻を裏切るような発言。

日本に居て心配している妻を、更に心配させるだけの最低な電話。

 

はぁ~、何やってんだろ俺。

目の前を通り過ぎていく人や、アメリカのキッズたちは、皆楽しそうにしている。

こんな楽しい空間で、僕ら親子2人だけが異常に深刻な状態。

息子も不安そうな顔で僕を見て…

 

…あ、そうか。

この子がいたんだった。

電話をしながら無意識にその辺を歩き回っていた僕のあとを、必死についてきていたらしい。

楽しい野球場でも、ここは数万人がいる場所で、異国の地。

頼れるのは父親の僕しかいないし、はぐれたら泣き叫ぶだろう。

日本では、デパートで自分が迷子になっても「パパとママが迷子になっちゃった」と自分から場内アナウンスを頼んで、僕ら夫婦を呼び出してくるような頼もしい息子(※3歳の時の実話)だけど、アメリカだと英語話せないからそれもできないよね。

そうだ、旅行中どんなにイラついても、思うようにいかなくても、父親の僕がそれを顔に出したらダメだし、怒ってはならないんだ。

それだと息子が不安な気持ちになるだけで、楽しくなれるわけがない。

思い出せ、このイベントを企画しているFJKのサイトには「笑ろてるパパがええやん!」とあったじゃないか…!

 

時間にしたら30分くらいだったと思う。

僕にとってはとても長く感じたし、息子はもっと長く感じたろう。

とにかく、僕は何とか自分の気持ちを切り替えた。

そして、旅行中、自分からはもう妻に電話をかけないことに決めた。

その後は、2人でセーフコ・フィールドの球場内をあちこち探検したり、お土産物を見たりして、すっかり暗くなってしまった僕らの間の空気を何とか立て直すことに費やした。

せっかくの機会だったけど、野球観戦自体は半分も観れてないんじゃないかな。

気がついたら、9-1でゲームが終わってました。

地元マリナーズの大勝利!

球場は大いに盛り上がっている。

ゲームをほとんど観ていない僕らだけど、同行するパパたちと「いやー、勝ちましたね!」と喜んでいたら、この後、キッズ向けにベースランニングがあるという話が入ってきた。

凄いな!

メジャーの試合が終わったばかりなのに、すぐにそのグラウンドを開放するのか。

 

という訳で、さっそく参加させてもらうことにした。

ついさっきまで、プロのメジャーリーガーがプレーしていたグラウンド内を、一般の子ども達が走っている。

憧れの選手がプレーしていた、このグラウンドを。

こりゃ子ども達も野球を好きになるし、将来野球選手を目指したくなるはずだ。

憧れの選手をこんなに身近に感じる機会があるんだから。

こういうファンを大切にする姿勢って素晴らしいな。

息子も力強くベースを回っている。

普段走る時はダラダラかったるそうに走ることが多いのに、今日は別人のようだ!

球場内に入る。
息子のテンションも上がってきた。

暗かった表情もすっかり明るくなった!

そうだよ、こういう顔が見たかったんだ!

…その日の夜。

昼間に色々ありすぎた僕は、息子を寝かしつけた後、1人深く考え、そして反省した。

観ている時はつまらなさそうだった息子は、自分が参加することになった途端、生き生きとし始めた。

ベースランニングをしていた時の息子は、間違いなく楽しそうにしていた。

もしかしてこの子は、やる側にならないと興味を示さないタイプなのか?

昨夜のパレードも、もしかしたら車上から手を振っている状態じゃなくて、自分の足で歩いて道路脇の人たちと接しながら参加していたら違ったのかも??

自分の子供がどんなタイプの人間なのか、どういうことに興味を示すのか、こんなに深く分析したのは初めてだった。

日本で何気ない日常を過ごしていたら、まずこんな機会はない。

父親と息子の2人だけ、逃げ場のない状態で向かい合ったからこそ、できたことなのではないかと思う。

これが日本国内の旅行だったら「すみません、もう限界なんでタクシーで一旦帰ります!」ってなっていたかもしれない(笑)。

海外だとそういう訳にはいかないからね。

FJKさんの「父子2人で海外へ」というのはこういう意図もあったのかなと思いつつ、本当にありがたい機会をいただいたなと皆さんに感謝した1日でした。

スポンサーリンク

-シアトル父子ツアー