前回の記事では、ランウェイでの審査や、スカウトを受けてからの流れを書いてみました。
今回はいよいよ事務所との契約についてと、その後の活動状況についてです。
色々な事務所さんがあると思うし、キッズモデルも契約内容やキャリアによって活動が全然変わってくると思うので、「こんな感じでやっている親子もいるんだな」という程度で読んでみてください。
事務所に所属するにはどんな手続きをするの?お金はかかる?
正式に事務所に所属するとなった場合、当然契約手続きが必要となってきます。
契約の当事者は事務所と本人(&法定代理人)ですね。
ご覧のとおりきちんとした契約書を作成して、事務所と保護者でそれぞれ1通を保管することになります。
契約の詳細についてもお見せしたいところですが… ごめんなさい、流石にblogには載せられません。
大まかにいうと、マネジメントの内容(お仕事を斡旋しますよとか)、権利義務関係、守秘義務についてとか、違反した場合の損害賠償についてとか、そういう一般的な内容が書いてあります。
締結するときも、事務所側から一方的に「これで契約してください」とくるのではなく、大まかな案を事務所に作ってもらって、その条文をお互いに確認しながら最終的に契約するといったとても親切な流れでした。
さて、事務所に所属するとなったとき、真っ先に僕の頭に浮かんだのが「キッズモデルの芸能事務所って、所属する代わりに毎月の高額なレッスンを義務付けられるんじゃ…」というもの。
大手の芸能事務所など、通常そういった事務所さんは多いですし、むしろそうやってレッスンを受けていくことで子役やキッズモデルは徐々にタレントとして養成されていき、事務所も運営されていくのでしょう。
ですが、長女の場合は特にそういった条件はなく、契約を結んだ時から現在に至るまで、特に何のレッスンも受けておりません。
何かを強制されたこともないです。
いただいた案件のオーディション会場や撮影現場に向かう実費以外は、特に費用が発生したこともなく、これまでのところ経済的負担の発生はなし。
色々な事務所さんがあると思いますが、所属する上でお金がかからないというのは、親として非常に安心できるポイントでした。
ただ…、お金はかからないですが、保護者の時間と労力はめちゃくちゃかかります。
主に平日に開催されるオーディションは基本的に保護者の同行が必要ですし、案件が決まって実際に撮影するとなったら、当然それにも付き添うことになります。
専属のマネージャーさんが付いてくれる大物子役の場合は分かりませんが、普通は全て親子で行かなくてはなりません。
保護者が共働きサラリーマンで平日の昼間はどうやっても時間を作れない、という人は事実上付き添うことはできませんし、自営やフリーの方でもスケジュールぎっちりで忙しいという方には難しいでしょう。
僕も以前の仕事(比較的安定した公務員みたいな感じでした)だったら、有休使い切っても無理だったと思います。
また、子ども自身も、平日のオーディションや撮影なら学校を休まなくちゃならないし、時間帯によっては習い事もお休みや曜日変更などして調整する必要があります。
習い事はともかく、学校をお休みするのは親として賛否両論分かれるところ。
僕も最初は「学校を休ませてまで行くのはちょっとなぁ…」という考えでした。
ですが、オーディションや撮影の現場に行くと、学校とは違った知識や経験が得られる(何しろ初めての場所で初対面の大人達とたくさん交流しなければならないので)のも事実です。
なので、今は「課外活動の一つ」と割り切って、本人にとって過度な負担にならない程度に参加させるようにしています。
なお、これはあくまで長女の場合のお話です。
他の方の契約内容や活動の詳細までは分からないので、もしお子さんが事務所に所属するとなった際は、しっかりと費用や活動内容について確認されるとよいでしょう。
事務所に所属した後はどうなるの?
色々な事務所によってスタイルは異なると思いますが、長女の場合、基本的にマネージャーさんからお仕事のオーディション案内の連絡を待つのみです。
上で書いたように、日頃特別なレッスンを受けたりもしていないので、本当にひたすら案件が送られてくるのを待つだけ。
普段の生活が、何か劇的に変わるようなことはありません。
連絡手段は、最初の頃はメールだったような気もしますが、現在はL I N Eで簡単に概要が送られてきます。
それを見て、内容とスケジュールなどから応募できそうであれば「エントリーお願いします」と返信して、指定があれば直近の写真や動画などを送ります。
急ぎの場合は電話で直接ご連絡をいただくこともありますが、この辺は僕ら大人が仕事の依頼を受ける場合とさほど変わらないですね。
仕事のオーディションってどんなものがあるの?
「事務所に所属したところで、何も仕事をもらえないっていう話もよく聞くし、その辺はどうなの?」と思っていらっしゃる方も居られるのではないでしょうか。
ご安心ください。
山のように案件が送られてきます。
試しに、所属してから現在(2021年5月末)までにいただいた案件を全てカウントしてみました。
その数、約2年間でなんと205件。
新型コロナウイルスで、去年初めての緊急事態宣言が発令されたときは多少ペースが緩やかになりましたが、平均すると週に大体2回の頻度で案内をいただいていることになります。
結構なペースですよね。
案件の内容も多岐にわたります。
映画やドラマの出演、企業のテレビCM、バラエティ番組の1コーナーや再現VTR、官公庁の動画、チラシ広告、etc…。
C MもテレビからWebから、ありとあらゆる媒体を紹介されました。
いずれも有名な番組や企業のCMだったりするので、最初の頃は「この内容に自分の娘が応募しちゃっていいの?」という感じでした。
ただ、一つ注意点があります。
案内してもらえる案件の量はてんこ盛りですが、それに受かって採用されるかどうかは全くの別問題。
というか、最初はまずほとんど受からないと思った方がよいでしょう。
ただでさえ同じ事務所には同世代の可愛らしい子がたくさん在籍してるし、一般のオーディションともなれば競争相手は事務所内に留まりません。
他の事務所からも、相当な人数が参加していることが予想されます。
単にタレント事務所に所属しただけの子が、それだけでバンバン仕事をとれるほど、世の中甘くないのです。
そして、親として一番キツいのが実はこれだったりします。
- 案件が送られてくる
- 子どもの学校行事や習い事の日程調整をして、自分の仕事の都合をつけた上で応募する
- 書類選考
- 不合格のお知らせ
日々、これの繰り返しで、9割以上は書類の時点で不合格。
案件に応募する際は、その都度子どもの写真や自己紹介動画を撮ったりもするので、忙しい中ではこれもなかなかの手間。
事務所さんに宣材写真を撮ってもらう機会もありますが、日々の案件の応募には親がスマートフォンで写真や動画を撮って送ることが通常(おそらく、子どもの容姿は短期間で変わることが多いからでしょう)なので、その度に衣装や撮影場所を考えて撮ることになります。
今でこそ慣れましたが、最初の頃は応募しては落とされ、応募しては落とされを繰り返していて、僕自身かなり精神的にクるものがありました。
可愛い自分の子どもがオーディションに落ちるのは、自分が就職面接で企業に落とされるのよりツライ。
「不合格といっても、監督さんや企業さんにダメ出しされているのではなく、先方の求めるイメージやニーズに合っていないだけなのだ」と自分に言い聞かせても、我が子がフラれるのはツライ。
不合格の通知を受けた後に「パパ、この前の頑張ったオーディション、どうだったのかなぁ」と結果を娘に聞かれるのは、血の涙を流すほどツライ。
精神的につらすぎて「こんなに受からないんじゃあ、もういっかなぁ…」と考えたこともありました。
というか、自分自身がオーディションに応募しているのなら、とっくに心は折れて「芸能活動とかもう無理っす!」となっていると思います。
だって、映画やドラマ、大手企業のテレビCMなら落とされても「そりゃ簡単にはいかないわな」と思えますが、ちょっとしたエキストラやチラシモデルですら書類審査の時点で全く受からないんだもん。
来る日も来る日も不採用ばかりなので、「これ、合格する日なんて一生来ないんじゃないの…?」と本当に思っていました。
しかし、選考から落ち続けていても長女はそれなりに楽しそうだし、親の僕が子どもより先にギブアップする訳にはいきません。
めげずに何百何千というオーディションに果敢にチャレンジしていかないと何も前に進まないし、一番頑張っているのは当の本人なのですから、本人が「もういいや」と言い出さない限り、そばで支えていかないと。
ちなみに、長女の場合、最初にお金をいただける「お仕事」が正式に決まったのは、事務所から案件をいただき始めてから1年7か月後のことです。
それまでの間は、来る日も来る日もずーっと不合格。
いただいた案件は、特定の言語や方言を話せるとか、あるスポーツの経験があるなど特別な条件が付くものを除いて、ほぼ全てにエントリーしています。
スケジュール的にキツかろうが、宿泊を伴うものであろうが、「もし受かったら自分の仕事だろうが冠婚葬祭だろうが調整つけてやる!」とあまり後先も考えずにエントリー。
それでもなかなか合格には至らず、「これでは案件を紹介してくれるマネージャーさんに申し訳ない…」と思う毎日でした。
2年経ってようやく慣れてきましたけど…。
余談ですが、家族に兄弟がいる場合、所属するお子さん以外にも「リアル家族で出てみませんか?」と他の家族にお声がかかることもあります(CMのオーディションに多い気がする)。
我が家も話の流れで、長女だけでなく他の兄妹やママ、同居するお婆ちゃんまでもがオーディションに参加したことがあり、しかも見事採用されました。
当然、応募の際にはその家族もバストショット写真が必要だったりするので、普段から家族のそういった写真を撮っておくと慌てず便利かもしれません。
【まとめ】親として、タレント活動をする我が子をどう思う?
いかがでしたでしょうか。
事務所に所属して以降の生活を、書ける範囲で書いてみました。
「我が子がタレントになる」「芸能界デビューできるかも?」多分、自分のお子さんをオーディションに参加させている親御さんは、ほとんどの方がそういった期待を胸のどこかに抱いていると思います。
僕も、長女が映画や有名企業のCMに出られたらいいなぁと思っている親バカな一人です。
でもね、実際やってみると、想像していたよりキツイ。
「我が子を有名にしたい!」って気持ちだけだと、続けていくのはちょっと厳しいかもしれません。
オーディションにエントリーするのは自由ですけど、100回受けて1回も通らないのが当たり前の世界ですから、相当メンタルを強くしていかないともちません。
なので、ミーハーな気持ちだけでなく、やっぱり親子で一緒に楽しむという気持ちを忘れちゃいけないと思います、マジで。
間違っても自分の夢を子どもに託そうとしたり、「忙しい中こんなにやってるのに全然結果出ないじゃないか!」なんて苦々しく思ったりしてはダメ。
そのマイナスな空気が一気に子どもに伝わって負担となり、活動そのものが楽しくなくなってしまいます。
うまくいかなくて当たり前、まぐれでもオーディションに通って何かに出演できたら万々歳!
「なかなか経験できない世界を子どもと一緒に楽しむイベント」くらいの気持ちで挑んで、オーディションや撮影の行き帰りをちょっとした旅行気分に考えるとちょうどいいかもしれませんね。
以上、ベストキッズオーディションのその後でした。
長女の活動はこのまま続けていく予定なので、また何か進捗があれば書きますね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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