朝が来た。
SPEAの朝は、全員集合してのダンスで始まる。
軽快な音楽が鳴り始めると、寮の部屋から生徒たちがぞろぞろと出てくる。
みんなで一緒にダンスを踊ることで、一日がスタート。
曲や振り付けも毎週替わり、見様見真似で覚えて、家族でダンスするのがなかなか楽しい。
身体を動かすと、寝ぼすけの子供たちの目も覚めるしね。
そうやってダンスが終わると、今度は1人の生徒から全体へ簡単なスピーチ。
これは事前に割り振りが決められていて、何日かに一度自分の順番が回ってくる。
滞在している生徒の数によって順番は変わるので、生徒数が多い時はなかなか回ってこず、少ない時はあっという間に自分の順番になる。
話す内容はそれこそ自由!
何を話しても構わない。
自分の趣味のこと、家族のこと、フィリピンに来て体験したこと、などなど…。
ただし、スピーチは「in English」である。
忘れてはいけない、今は留学中なのだ。
振り返ってみて、この「英語で簡単なスピーチができる」というのが、普通に英語を話せるようになる第一歩のような気がする。
皆さんは、自分の趣味の話や家族のこと、もっというと自己紹介なんかを英語ですぐにスラスラと言えますか?
今でこそ僕は言えるようになったけど、少なくとも大学までの勉強でそれを体得したとはとても言えなかった。
それは、僕が学生の頃にはそんなスピーキングのカリキュラムなんて存在せず、読み書きオンリーの試験勉強だけで、そもそも喋る訓練をしていなかったのだから、当然と言えば当然なのだろう。
この朝のスピーチ、生徒によって様々な内容と長さだ。
紙を見ながら書いてある通りに喋る人。
事前にがっちり暗記してきた内容を、そのまま再現しようとする人。
思いつくままにベラベラとブロークンで話す人。
喋り方も、抑揚なく小さな声で喋る人や、大きな声で笑いを交えながら喋る人など、本当に十人十色。
といっても英語だから、自信がないと必然的に小さな声にはなりがちだ。
多分、これは日本語でスピーチしたとしても、そんなに変わらないんじゃないかな。
その人の個性というか、キャラというか。
当たり前だけど、喋れるというのと、喋りがうまいというのは全然違う話なんだな。
ちなみに僕は「ある程度喋る内容を覚えておいて、あとは出たとこ勝負」だった。
やはり日本語でスピーチするときと大差ないな。