南島から帰ってきた僕らは、帰り支度を整えて、おがさわら丸に乗り込んだ。
いよいよ、本当に父島と、小笠原とお別れだ。
二見港に着くと、既にたくさんの人がお見送りに来ている。
一週間に一度しか船がないから、帰りも皆同じ船に乗って帰る。
あちこちで別れを惜しんでいます。
太鼓を叩いたり、歌が流れたりして、本当にお別れなんだなぁというムードが漂ってます。
帰りたがらない子ども達。
全体の日数からしたら、そんなに短い旅行ではないと思うんだけど、やっぱり名残惜しいよね。
楽しくてあっという間だった。
「また来るね~!」
「ありがとう~!」
船上から大勢の人が手を振って挨拶しています。
辺りに流れていた「蛍の光」の音楽が鳴り終わると、いよいよ本当に出航です。
おがさわら丸が出航すると、他の船も後を追うようにして出発します。
小笠原名物というか、本土行きの便が出航すると、島の方々が船で並走してお見送りしてくれるのです。
噂には聞いていましたが、かなりの数の船がお見送りしてくれます。
ほんと、こんなにたくさん!?と驚くほどの数です。
そんな中で、突然長女が叫びました。
「アリエルがいる!おーい、アリエルー!!」
目を凝らしてみると、本当にアリエルが居ました。
こりゃチビッ子も喜びます。
サービス精神よすぎです。
並走してくれた船は、しばらくすると静かに止まります。
そして「また小笠原に帰ってこいよー!」と叫びながら、海へ飛び込んでくれるのです。
それにしても皆さん、もうかなり沖の方なのにもかかわらず、ガンガン付いてきてくれます。
既に二見港ははるか遠くです。
そして、こんなに沖の方なのに、みんな躊躇なく次々と飛び込みます。
出発してから20分以上は並走してくれたと思います。
最後まで本当に良い想い出をいただきました。
後から知ったことですが、島の人は出発の時に「さようなら」とは言わないそうです。
また小笠原に帰ってくることを祈って、「いってらっしゃい」と。
正直、見送ってくださった方々とは面識ありません。
でも、本当に感動的で心打たれました。
41歳のおっさんが泣いてても絵にならないので我慢したけど。
気が付いたら、次女は寝ちゃってました。
今回の旅行、さすがにこの子は覚えていないだろうけど、7歳の長男と4歳の長女は覚えていてくれるといいなぁ。
そして、この旅行はおがさわら丸の上で日没を拝んで、フィナーレを迎えます。
やっぱり少し雲が出ていたけど、何ともいえない穏やかな夕暮れ。
観ているだけで非常に穏やかな気持ちになれます。
…ただ一人、じっとしていない長女を除いて。
最終的には、家族全員で静かに沈んでいくお日様を拝むことができました。
さて、育休中の子育てblogはどこへやら、すっかり旅blogとなってしまったこのblogですが、僕ら夫婦の目的は「普段の生活をしていたら絶対に行かれないところに行ってみよう」というものでした。
子どもを連れてどこかに旅行に行くことはこの先もあるだろう。
海外だって行くかもしれない。
でも、現地に行くだけで24時間かかる旅行、しかもそれが国内旅行って、普段仕事していたら行けるかなぁ?
そんな発想で、僕ら夫婦は考えました。
いつかは行ってみたいと思っていた小笠原旅行。
行くんなら、育休中の今しかない!と大決断。
帰ってきた今、本当に心から行ってよかったと思います。
家族とこんな素敵な一週間を過ごせたのだから。
小笠原の人々は、とても温かくて優しい人達でした。
島で出会った子ども達も、初対面の僕らに大きな声で「こんにちは!」と挨拶してくれました。
こんな環境で子育て出来たら素敵だなぁ。
子育てをするのに本当に良い生活環境って何なんだろう。
深く考えさせられました。
育休中に、普段行かれない場所、特に勤め仕事してたらまず行けないような場所に旅行するのは、おススメです。
僕ら家族にとって、小笠原は最高の想い出となりました。
…最後の一枚。
南島へ行く船で出会った、素敵なおじさんと。
優しいおじさんに子ども達はすっかり懐いてしまいました。
行きも帰りも週に一度しか船がないから、島内でも船上でも、素敵な出会いがたくさんありました。
おしまい。